色々なIOTの活用事例

私たちの生活をより便利にする様々なIOTの活用事例をご紹介

誰かの「いつも」をつくる鉄道×IoT

交通手段として欠かせない鉄道。通勤・通学や旅行などでほぼ毎日利用するという人も多いはずです。
そんな身近な存在である鉄道には、既にIoTのテクノロジーが活用されていることをご存知でしょうか。

今回は国内鉄道の中でも、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)で活用されているIoTテクノロジーや、活用事例を中心にご紹介いたします。

「攻めのIT経営銘柄2017」に選ばれたJR東日本×IoT

この「攻めのIT経営銘柄」というものは2015年新設で、経済産業省と東京証券取引所が共同で紹介するものです。JR東日本は3年連続3回選ばれています。
そして今回、選ばれる際に主な評価ポイントとなったのが「モバイルSuica」への取り組みと、「鉄道メンテナンス」への取り組みです。

評価されている2つの取り組みには、もちろんIoTが関わっています。モバイルSuicaは2006年に開始されたサービスで、スマートフォンでも利用することができます。
これに活用されているIoTテクノロジーは、IoTの中でもFinTechに分類されるものです。具体的にできることは、時間や場所に関係なくチャージできる・定期券が買えるなどです。

ちなみに、Suica・PASMO・Kitacaなどが加盟している全国相互利用サービス全体で、1か月あたりの交通系電子マネー利用件数が2017年5月に1.5億件へと達しました。
この数値は、全国相互利用サービスがスタートしてから1か月時点で1億件未満だったものです。この数値の伸びから、交通系電子マネーへの需要の高まりがわかります。

鉄道メンテナンスに関する取り組みは、新型車両などでIoT活用の「CBM」を目指すというものです。
このCBM(Condition Based Maintenance)は、線路などの「状態を基準」としたメンテナンス方法・考え方を指します。
現状は、一部を除いてTBM(Time Based Maintenance)という「時間を基準」とした考え方でメンテナンスを行っています。

CBMは、線路などの状態をモニタリング・収集し、データセンター・メンテナンスセンターへデータ送信する部分にIoTを活用しています。
なぜ現状のTBMではなくCBMを目指すのかというと、コスト削減と安全性向上に貢献するためです。
TBMは線路などの調査・メンテナンスを期間(時間)ごとに行い、多くの人手や検査用車両を必要とします。

【画像参照元】日経ビジネス

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しかし、CBMでは営業運転車両にセンサーやカメラを備えることで毎日でも線路や架線の状態を確認することができ、メンテナンスの必要な部分を早期に発見することができます。
必要な場所を必要なときだけメンテナンスすることができるので、検査のための人員や保守コストの削減につながります。

JR東日本の山手線では「E235系」という最新車両が走っています。
その最新車両にはCBMが採用されており、線路状態・架線状態だけでなく「車内状況」もモニタリング可能です。
車内設備の扉などにもCBMを適用させると、問題の起こりそうな扉だけを発見しメンテナンスすることができます。

ほかにも車内で計測できるデータとして車内温度・込み具合などがあります。
これらの計測データを活用することによって、利用者にとっての利便性が向上します。
具体的には、現在の込み具合・駅ごとの乗客者数増減データ活用などにより、エアコンの温度調整を最適化することなどが可能です。

JR東日本では車内温度や込み具合、さらに位置情報などのデータを鉄道利用者が直接確認して活用することもできます。 それには同社が提供する無料スマートフォンアプリ「JR東日本アプリ」が必要です。 車内温度や混雑度は山手線のみの「トレインネット」で確認することができ、号車ごとに状況がわかるので好みに合わせて移動するような活用が可能です。

このアプリではほかにも、在来線の列車走行位置、東北・北海道・上越・北陸新幹線詳細情報、首都圏私鉄・地下鉄の運行情報を見ることができます。 また、東京駅など一部の駅のコインロッカー使用状況も見ることができ、ロッカーの状態を知らせるためにIoTテクノロジーが活用されています。

2017年5月31日には、路線運行情報やコインロッカー使用状況がメッセージアプリのLINEから確認できるサービス実証実験がスタートしました。これは「JR東日本 Chat Bot」のLINEアカウントを「友だち追加」することで利用できます。この実証実験は2017年9月30日まで行われる予定です。

【参照サイト】

JR東日本
東日本旅客鉄道株式会社
東日本旅客鉄道株式会社
https://goo.gl/ioMFdg
ウィキペディア

 

そのほかの鉄道会社が取り組んでいる事例

東急エージェンシー「交通広告×IoT」

2017年3月20日から2週間。大手広告代理店の株式会社東急エージェンシーは実証実験として、車内中づり広告と「LINE」を組み合わせた広告商品を展開しています。今回の広告展開先は東急東横線とみなとみらい線です。

株式会社 東急エージェンシー

京急電鉄「京急線アプリ」

2017年3月28日スタート。
京浜急行電鉄株式会社は「京急線アプリ」をリリースしました。このアプリでは遅延情報テロップ表示・運行情報・行き先別発射案内情報を確認することができます。また、目的地までの時間より空き具合を優先する乗り換え検索「ゆったり電車で行こう」機能も利用可能です。

【参照サイト】京急企業・IR情報

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近畿日本鉄道「近鉄アプリ」

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2017年6月1日スタート。
近畿日本鉄道株式会社は「近鉄アプリ」で列車走行位置が確認できるサービスをスタートしました。
このアプリは2016年12月リリースで、運行情報プッシュ通知サービスなどが利用できます。

【画像参照】KINTETSU News Release

ITへの取り組みが積極的なJR東日本

今回はIoTテクノロジーの導入事例が多いJR東日本を中心に事例をご紹介いたしました。CBMはまだ一部の車両のみにしか導入されていません。しかし先述の通り、CBMによってメンテナンス効率が上がるだけでなく、早期に異常を発見できることから安全性も向上することがわかります。よってこれからに期待することができます。

2017年度下期以降、JR東日本はコールセンター業務支援としてAIの「IBM Watson」を導入していくと発表しています。
このようにAI活用にも積極的なため、CBMによって集めたビッグデータ解析にもAIが積極的に活用されていくと予想されます。

【参考資料】

東日本旅客鉄道株式会社
日経新聞

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